2015年7月13日月曜日

2015年4月 「Next Medical Device Innovation」
〈東京大学政策ビジョン研究センター医療機器の開発に関する政策研究ユニット(以下、医療機器ユニットとする)は、マンスリー・ニュースレター「Next Medical Device Innovation」で国内外のニュース、および、活動報告を皆様にお届けします。〉


●米国では医療機器の迅速承認スキームについて検討が進む
●AMED稼働
●安部昭恵、キャロライン・ケネディ駐日米国大使を招いたHIV予防シンポジウムに協力
                                    Photo: 今 祥雄
【Global Topics】
「医療機器の迅速承認プログラムの具体化」
アメリカでは、2015年4月に医療機器の迅速承認プログラム(Expedited Access Pathway Program)が具体化されました。迅速承認プログラムは、医薬品について医療機器よりも先に導入されていますが、医療機器でも導入されました。ある医療機器について迅速承認プログラムが適用されるためには、①~③を満たす必要があります。
①生命を危険にさらす、または、進行性の疾病や状態を治療または診断を目的とする医療機器であること。
②以下のうち、少なくとも1つの基準を満たす場合:
(1)適切な代替的治療または診断手段がない場合
(2)当該機器が、合法的に利用可能な技術よりも臨床上の有意義な利点をもたらす革新的な技術の場合
(3)当該機器が、合法的に利用可能な代替機器よりも重大な臨床上の有意義な利点をもたらす場合
(4)当該機器の利用可能性が患者の最善の利益に適う場合
③医療機器メーカーから臨床エビデンス収集に関する妥当な計画が提出されること。
医療機器の市販前の審査は、当然ながら早ければ早いに越したことはありません。もちろん、患者さんを危険から守る必要はありますが、最も負担の小さい審査がとことん追求されて初めて、医師の手によってより優れた医療提供が可能になります。臨床エビデンスの収集については、市販前と市販後の収集を適切に組み合わせることで、市販前の審査期間を極力短くすることが可能になります。日本でも、医療機器の特性を踏まえた規制をさらに進化させる際に米国の取り組みは参考になるでしょう。
Source: FDA, Expedited Access Pathway Program, Apr. 8, 2015, available at http://www.fda.gov/medicaldevices/deviceregulationandguidance/howtomarketyourdevice/ucm441467.htm

【Domestic Topics】
「AMED誕生」
AMEDとは、日本医療研究開発機構(Japan Agency for Medical Research and Development, AMED)の略称です。2015年4月、ついにAMEDが活動を開始しました。
かつて「日本版 NIH」とも呼ばれていたAMEDは、医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進・成果の円滑な実用化及び医療分野の研究開発のための環境の整備を総合的かつ効果的に行うための内閣府所管の独立行政法人です。AMEDは、内閣に置かれた健康・医療戦略推進本部が作成する医療分野研究開発推進計画に基づき、医療分野の研究開発およびその環境の整備の実施、助成等の業務を行います。医療分野の研究開発について総合調整、予算の集約、および予算の一体的な実行が現実のものとなれば、研究支援と研究環境整備の一体的な実施を通じて、基礎から実用化までの一貫した研究管理が可能になるでしょう。今後の活動や展開がおおいに期待されます。

【A Selected Activity from the University of Tokyo】
「HIV予防のための啓発に貢献」

                                                  Photo: 今 祥雄

医療機器ユニットは、2015年4月12日(日)に開催されたHIV予防シンポジウムを支援いたしました。このシンポジウムは、「HIVから公衆衛生を考える 若い世代と専門家との対話に基づく提言」と題して、東京大学「社会構想マネジメントを先導するグローバルリーダー養成プログラム(GSDM)」の主催、高校生未来会議; 厚生労働省; 文部科学省; 外務省、日本財団、日本国際交流センター、MTV Staying Alive Foundationの協力を得て開催されました。当日は、アメリカ合衆国駐日大使であるキャロライン・ケネディ閣下にご臨席いただき、UNAIDSランセットエイズ委員会委員の安倍昭恵氏、ピーター・ピオット教授(ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院(英国)学長兼教授/公益社団法人グローバルヘルス技術振興基金(GHIT Fund)・理事)、クリスティーナ・ジェイド・ペニャ氏(エリザベス・グレイサー小児エイズ財団大使)、岩本愛吉氏(国立研究開発法人日本医療研究開発機構・科学技術顧問)、村上友紀氏(OECDヘルスエコノミスト・政策アナリスト)によるパネルディスカッションに加え、斎木陽平氏(AO義塾塾長・慶應義塾大学院在学中)の司会で高校生、大学生、大学院生によるグループディスカッションが催されました。
グローバルヘルスの観点から次世代を担う若者と一緒に公衆衛生の意義を問い直すことは、HIV予防はもちろんのこと、医療機器の発展にとっても極めて重要だと考えています。
                                      Photo: 今 祥雄

医療機器ユニットは、研究開発、薬事規制、および保険収載・償還を中心に、多岐にわたるグローバルな医療機器に関する政策研究を世界中に提供している有数の研究ユニットです。2009年に発足した日本で最初の大学における医療機器に特化した政策研究ユニットであり、東京を本拠地として、ワシントンD.C.やロンドン、その他の世界の主要な拠点とのネットワークを擁しています。


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お問い合わせ:
Tel: 03-5841-4168
東京大学政策ビジョン研究センター
医療機器の開発に関する政策研究ユニット
アカデミック・コミュニケーション
東京大学 医療機器の開発に関する政策研究ユニット
マンスリー・ニュースレター「Next Medical Device Innovation」刊行!
- ユニット設置6年目にアウトリーチをさらに強化 -


2015年4月1日、東京大学政策ビジョン研究センター医療機器の開発に関する政策研究ユニット(以下、医療機器ユニットとする)は、マンスリー・ニュースレター「Next Medical Device Innovation」を刊行することを決定しました。
医療機器分野は、健康長寿社会を実現するための重要な産業の1つです。医療機器分野が「より健康な未来」に貢献し続けるためには、健康長寿社会の形成に寄与した者が報われる仕組みの整備が欠かせません。そのような仕組みがあって、はじめて患者や国民はより優れた製品や医療技術の恩恵に与ることができます。そして、そのようないわゆる「出口」を見通すことのできる環境であればこそ、医師や開発者などの関係者は、よりよい製品や医療技術を創出する意欲を持つことができ、その結果として、研究開発や投資はさらに進展することになります。すなわち、より健康な未来に投資することに価値を見いだせるだけの信頼と期待を医療機器規制、保険収載・償還制度、その他の関連政策によって醸成することが必要不可欠なのです。
医療機器ユニットでは、マンスリー・ニュースレター「Next Medical Device Innovation」を通じて、医療機器分野の技術革新を推進し、健康長寿社会と経済成長を実現するための議論をさらに深めて参ります。

医療機器ユニットは、研究開発、薬事規制、および保険収載・償還を中心に、多岐にわたるグローバルな医療機器に関する政策研究を世界中に提供している有数の研究ユニットです。2009年に発足した日本で最初の大学における医療機器に特化した政策研究ユニットであり、東京を本拠地として、ワシントンD.C.やロンドン、その他の世界の主要な拠点とのネットワークを擁しています。



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